ニュージーランド英語・ハイキング用語集

ニュージーランドでは英語が話されていますが、マオリ語や移民たちの言葉が混ざり合って、日本で学んだ英語とは違った用語が使われていることが多いです。一般生活で使われる単語を網羅しているサイトは多いのですが、余り知られていないハイキングやトランピングの用語についてまとめてみました。

雪の雪崩。表層地滑りのことを”tree avalanche”と呼ぶことが多い。

元々はアメリカ英語。ニュージーランドでは、山や森の中などの秘境を指す。

DOCの管理している山小屋のうち、グレートウォークスに指定されている山小屋以外のもの。これらの山小屋に泊まり放題の年間券”Annual Backcountry Hut Pass”や6ヶ月有効の券も売り出されている。

盆地状の地形。大きな盆地にも小さなカール地形にも使う。

ナンキョクブナの森

斜面に作られた人手で削られて平らかにされた登山道

コッフェル・アルミでできた鍋。クッカー(cooker)とも言われる。

岩や崖がひさしのように突きだしていてシェルターとして使える場所。テントを張らなくても雨風を防げる。

元々は醸造という意味だが、トランピングでは温かい飲み物(特に紅茶)を作ることを指す。

開拓時代(江戸後期から明治初期)に馬が通れるように作られた登山道

ブロシュアと読む。DOCが発行している登山道ガイド冊子。トラックや地域毎に編集されていて、一冊約2ドル~5ドル程度で手に入る。

二段ベッド。bunk bedとも言う。二段ベッドが集まった部屋をbunk roomと呼ぶ。発音が似ているが、川岸などはbank。

スコットランド方言由来。小川 stream のこと。南島南部のスコットランド移民が多かった場所の地名に多い。有名な Routeburn Track は「ルート川」という意味。

森や藪。元々オランダ語だったが、南アフリカ・オーストラリア経由でニュージーランドに渡来した言葉。NZの”tramping”に該当するオーストラリア英語は”bush-walking”。

登山道の無いところを藪を押しのけて進むこと。結構大変。

森林限界。北島では標高1400m、南島南部では標高900mくらい。”bushline”より上を”tops”や”alpine area”と呼ばれるタソック草原帯になる。

川などに渡されたケーブル。吊り下げられた籠に入って、自分の腕でケーブルをたぐりながら籠を移動させる。NZ、オーストラリア、スコットランドなどでは広義的には flying fox (アメリカでは zip line)とも呼ばれるが、こちらはターザンのように籠を使わないものも含まれる。

石を積み上げた道標。皆が勝手に作るので、道間違えの原因になりやすい。スコットランド英語。

カール地形。小さな氷河に削られた盆地状の地形。懸垂谷”hanging valley”を形成する。サークと発音。

林間にある木が生えていない草原。

動物の群生地。オットセイやペンギン、鳥などが集まっている場所を指すことが多い。

地図の等高線

小川

日帰りの山行・ハイキング

自然や歴史史跡の保全、国立公園などでのレクリエーション施設の管理、野生動物の保護を管轄するニュージーランド政府の省庁の一つ。1987年に発足した。ハイキングやトランピングで見かける緑地に黄色い文字の標識はDOCが管轄しているもの。

水洗トイレ。この反対語「汲み取り式トイレ」は”longdrop”や”pit toilet”と呼ばれる。

平らな原野。草原になっていることが多い。

洪水時(flood)に使われる迂回路。水が少ないときは渡渉できるが、洪水時には”flood detour”を使って、その川の上流にある橋などを渡ることが多い。

前衛山脈。例えば南島では、サザンアルプスとカンタベリー平原に挟まれた山岳地帯を指す。アメリカ英語由来。

歩く人だけが渡れる程度の小さな橋。地形図上では”f/b”や”F/B”と略される。

渡渉。橋を使わずに川を歩いて渡ること。道路の場合は「洗い越し(橋が無く道路と川が平面交差すること)」。登山口に通じる道路にあることもあるので、登山道によっては天気予報と同時に道路の状況と自動車保険についても調べておいた方が良い。

登山道の分岐点。川が二股に分かれるところ。

「壊れやすい」という意味。特に高山帯などでは、植生を守るために登山道から外れて歩かないように啓蒙する標識に書かれていることが多い。

日本語ではスパッツとも呼ばれる。ブーツの上に装着して、雪や石などがブーツの中に入らないようにする道具。

ジアルディア(ランブル鞭毛虫)。牧場を流れる小川などにいる寄生虫。この寄生虫のため、南島南部の山岳地帯を除き、小川や山小屋の水は煮沸消毒することが推奨されている。潜伏期間は1~3週間で、下痢や腹部の膨張感などが見られることが多い。

氷河

渓谷・ゴルジュ帯

DOCが指定した、風光明媚で人気のある10ヶ所の登山道(1つはカヌーでの川下り)のこと。これらの登山道には、特別な予算が付けられていて、他の登山道よりも山小屋や登山道の設備が整っている。

急な登りのこと。

谷の最上流部や、湖の一番奥のこと。

南島のサザンアルプスと海岸線の間にある山がちなタソック草原に覆われた地域。羊の高原牧場に使われていることが多い。道路と自然保護地域の間に広がることが多く、ハイカーは指定されたルートを通らないといけない。

レンズ雲。山脈の風下側に形成され、多くの場合は天気が崩れる前兆。マックパックのロゴマークにも使われている。

種子に鉤状のフックが付いたイネ科草本。歩いていると、脛にたくさんくっつくので取るのが大変。

山小屋。ニュージーランドには、約1000軒の山小屋があって、ほぼ全てがDOCの管轄。日本の避難小屋と同等の設備と考えてもらえば良い。

入り江

虫除け。特に蒸し暑い日の水辺はサンドフライが多いので、必需品。安いものはDEETと呼ばれる化学薬品の昆虫忌避剤が使われており、人によっては肌荒れ等を起こすので、少し値段が高いが自然由来の虫除け剤がおすすめ。

マオリの部族

ニュージーランドに生息する毒グモ。セアカゴケグモの一種。特に温暖な海岸線沿いに生息しているが、トランピング中に遭遇することは稀。

北島のコロマンデル半島以北に分布するナンヨウスギ科の常緑樹。その昔、マオリ族はカヌーを作るのに使っていたが、ヨーロッパ人の開拓時代に大規模に伐採され、現在では往時の1%以下の面積しか保護されていない。近年、カウリ枯死病が蔓延しており、オークランドやノースランド地方では、登山道が閉鎖されたり、入山時に靴を綺麗にしないといけない。タネマフタと呼ばれるカウリの巨木は屋久島の縄文杉と姉妹木提携を結んでいる。

南島の高山帯に住むオウム。「キーアー」と鳴くが、猫の鳴き声かと間違える人も多い。人間の3歳児並の知能を持ち、キャンプ道具や車のゴムなどで遊ぶのが大好きなので、山小屋では道具は外に放置しないこと。人間に近寄ってくるが、糖尿病になるのを防ぐため、餌付け厳禁。

丸くなって突きだしている地形。一般的な英単語だが、ニュージーランドでは南島の地形で良く使われている。

汲み取り式トイレ。たまに”pit toilet”とも呼ばれることがある。

ウールやポリプロ素材でできたスリムで暖かなズボン。”track pants”とも呼ばれる。

展望台、見晴らしの良い場所

トゲトゲした低木。南島のhigh countryに多く見られる。別名”Wild Irishman”

モレーン地形。氷河が落とした土砂が堤防状に連なったもの。日本語では氷堆石。

泥ドロでぬかるんでいる状態を指す。

ニュージーランド固有のイラクサの一種。登山道の脇に群生していることが多い。葉や茎に密生する棘には毒があり、これに触れると数日間は痛みがある。この毒での死亡例もあるので、注意。

要塞状に作られたマオリの村。通常は丘の上にある。

登山用のザック。1920年代のニュージーランドではリュックサック”rucsac”と呼ばれた。アメリカでは”backpack”、マオリ語では”pikau”と呼ぶ。

荷物を満載したロバや馬が通れるように開削した登山道。開拓時代に使われた単語。

ヨーロッパ系の白人。「マオリ」の対義語として使われる。

峠・鞍部。山脈の稜線上の一番標高が低い地点。”saddle”は比較的簡単、”pass”はもう少し技術的に難しい地名、”col”は登攀技術が必要な地名に付けられることが多いが、必ずしもそうとは限らない。

寝袋のこと。悪天候で停滞する日のことを”pit-day”と呼んだりする。

1980年代以降に使われるようになった化繊「ポリプロ素材」の短縮形。

淵。川にある深くて淀んだ場所。

日本語ではフクロネズミ。オーストラリア原産の有袋類。19世紀末に毛皮を取るために移入されたが、天敵がいないニュージーランドでは大量に繁殖して、植物の葉を沢山食べて、植生を枯らしてしまうようになった。羊毛とポッサムの毛を混紡した毛糸から作られたセーター、手袋、帽子などはとても暖かく、お土産に最適。皆さんがお土産で買っていただくと、ポッサム猟師が頑張って捕まえるので、自然保護にも役立ちます。

ニュージーランドに産出する翡翠に似た緑色の宝石。ネフライトもしくはボーエナイトと呼ばれる石。南島の西海岸にしか産出しない。マオリは宝飾品や武器などに使っていた。ニュージーランドにあるロングトレイルは、元々はマオリがポウナムを交易するのに使っていた登山道が原型になっている。ポウナムを、自分で自分のために購入するのは縁起が良くない。

DOCが管轄する以外の山小屋。ガイド付きツアーの山小屋や、猟師グループが保有している山小屋、牧場の牧童小屋、地元トランピングクラブの山小屋などがあるが、いずれも事前に利用可能かどうか確かめる必要がある。

マオリの文化の一つで、聖地を守ったり、魂を鎮めたり、穢れから自分たちを守るために、ある特定の場所で特定の行動を控えること。トランピングに関係する例としては、ハイカーが遭難死したときに、その魂を鎮めるために、一定期間、その登山道への立ち入りや水関係のアクティビティーなどが禁止されることがある。インターネットなどには出ていないことが多いので、地元のDOCビジターセンターなどで最新情報をチェックすること。

山脈

稜線

川の渡渉。足の怪我を防ぐため、ブーツを履いたまま川を歩いて渡る。川の流れを読む技術が必要。渡渉するときは、ザックのバックルを外して、複数人で特別な方法で手を組み合って渡ることが推奨されている。

河原

DOCが整備している登山道のうち、トラックマーカー、ポールやケルン等でのみ道筋を示したコース。コンパスと地形図を使って、自分で登山道を確認しながら歩かないといけないので、熟練者向け。

自分が立っている場所から見て、川の下流の地形。川を渡渉するときの用語。

体長1.5mmほどの小さなブユ。噛まれると猛烈に痒く、数日間は痒みが続く。肌に着地してから噛むまでにタイムラグがあるので、手で払いのけると良い。歩いていたり、そよ風が吹いている場所では、まとわりついてこない。蒸し暑い日の水辺で多く見られるので、虫除け剤は必需品。

ガレ場

アメリカなどでは”trail mix”と呼ばれる、ナッツやチョコレート、ドライフルーツ、甘いお菓子などを混ぜた高カロリーのおやつ。

藪。元々アメリカ英語だったが、現在ではオーストラリアやニュージーランドで幅広く使われている。

脇道。メインの登山道から盲腸状に延びた登山道のことで、その先には展望台などがあることが多い。

山の中腹をトラバースすること。

土砂崩れ

山の斜面・山腹。

森林限界の上の高山帯や、河原などに立てられた登山道を示すポールのこと。通常はオレンジ色に塗られている。

セリ科の刺々しい草本。厚手のズボンなども軽々と刺してしまうので要注意。

主稜線から分岐した小さな稜線

柔らかく深い雪を頑張ってラッセルすること

吊り橋。「何人まで」という重量制限が書かれているので、渡る前に必ずチェックする。

マオリ語で「その土地に住む人たち」。地元の人や、元々住んでいた人たちのことを指す。

オーツ麦、バター、ゴールデンシロップを混ぜて硬く焼いたビスケット。硬すぎるのでザックの中で壊れない反面、勢いよく食べると歯が欠ける。

マオリ語で聖地。基本的に立ち入ることはできない。例えば、トンガリロ国立公園のブルーレイクはタプで、ここで泳ぐことは禁止されています。NZ最高峰のアオラキ/マウントクックも頂上周辺はタプとされ、頂上から数百メートル離れた場所を登頂と見なすことが多いです。

池塘。高山帯の湿原や沼地にある池や湖のこと。

段丘。段になった地形のこと。

潮の満ち引き。海岸線沿いを歩く登山道では、満潮時は歩けなくなる箇所があるので、潮の満ち引きを考慮して山小屋の出発時間などを決めることが多い。干潮を”low tide”、満潮を”high tide”と呼ぶ。

森林限界よりも上のタソック草原。スコットランド英語。

NZ国土地理院(Land Information New Zealand: LINZ)が発行する全国をカバーする地形図。5万分の一が最大の縮尺、広域を眺めるには25万分の一が良い。最近は携帯電話のアプリを使っている人も多い。日本と投射法が違うので、注意が必要。

懐中電灯。ヘッドランプのことは”head torch”と呼ぶ。

ハイキングやトレッキング(NZ英語ではトランピング)に使われる登山道のこと。アメリカ英語である”trail”はほぼ使われない。

トレッキングのこと。元々、「彷徨い歩く」という英語に由来するが、1920年代から、泊まりがけのトレッキングを指すようになった。ハイキングは日帰りで比較的簡単なことが多いのに対し、トランピングは泊まりがけで長距離を歩くことを指すことが多い。

三角測量用の一等三角点の位置を遠くからで分かるように作られた簡易の櫓。現在は測量は全てGPSになり、trigは必要なくなったが、昔のtrigがまだ残っている山頂が多い。

川の左右を表現する単語。川の下流に向かって右か左かで常に表し、自分の進行方向は関係ない。

森林限界よりも上の高山帯や、草原に生えているイネ科の草本。風にたなびいている様子が郷愁を誘う。スコットランド英語で「髪の毛の塊」という意味。

登山道脇や河原に生える高さ数10cm~3m程度の木本。春の新芽はアスパラガスに似ており、秋には赤い実をたわわに付ける。ほぼ全体に毒があり、誤って食べると覚醒して、死に至ることもある。

ワイヤーだけが岸と岸を結んでいる簡易な吊り橋。綱渡りのようにして渡る。ワイヤーが2本の橋もあるが、近年は3本の橋に順次掛け替えられている。”walkwire”とも呼ばれる。

山小屋の管理人。夏のグレートウォークスの山小屋には常駐していることが多いが、小さな山小屋は無人。仕事としている人と、短期間のボランティアでしている人がいる。山小屋の掃除、管理、ハットチケットのチェック、天気予報の受信、夜のハットトークなど、山小屋と周辺の登山道を管轄している。

風化して層状になってポロポロと崩れ落ちる岩。ニュージーランドの子供に人気があるシリアルの一種に似ていることから名付けられた。

キャンプ用のストーブに使われるホワイトガソリン。ガソリンスタンド、アウトドア用品店、ホームセンターなどで手に入る。

自然保護のため、登山道や山小屋はあえて作らず、ジェットボートやセスナ飛行機でのアクセスも緊急時以外は制限されている特別保護地域。

嵐や雪によって登山道上に落ちてきた木や枝のこと

私と同じ年代にワーホリに来た人たちがバイブルのように読んでいた秋葉研さんの「ニュージーランド・トランピング&温泉情報」にも同様の用語集があります。こちらには、ワーホリやバックパッカー用語も含まれているので、幅広い人たちに参考になるはずです。